よくFXは危ないと言われたり、FXはやめておけといった声も聞かれますが、積立FXなら安全なのではないかと興味を持つ方もいます。
ギャンブルのような投資はしたくないけど手堅く積立でFXができれば良いかなと思うかもしれませんが、積立FXには様々なデメリットや問題点があります。
まずは積立FXとはどのようなものなのかや、特徴から見ていき、メリットやデメリット、問題点などについても順番に触れていきます。
よくFXは危ないと言われたり、FXはやめておけといった声も聞かれますが、積立FXなら安全なのではないかと興味を持つ方もいます。
ギャンブルのような投資はしたくないけど手堅く積立でFXができれば良いかなと思うかもしれませんが、積立FXには様々なデメリットや問題点があります。
まずは積立FXとはどのようなものなのかや、特徴から見ていき、メリットやデメリット、問題点などについても順番に触れていきます。
目次
ドル円 | ユーロ円 | 取引単位 | キャンペーン |
---|---|---|---|
0.2銭※ | 0.4銭※ | 1万通貨 | あり |
積立FXは通常のFX取引のように、チャートをじっと見て売買機会を待つ必要がありません。
予め設定した内容に基づいて自動的に積み立てられるため、投資初心者の方でも始めやすくなっています。
積立投資の特徴である「少額から始められる」という点も共通しているので、将来に向けての資産形成方法としての選択肢となっています。
FXは基本的に1万通貨単位で取引を行います。
ドルを買う場合であれば1万ドルからとなり、レバレッジをかけない場合は1ドル140円であれば140万円もの大金が必要になってしまいます。
レバレッジとは、少ない資金を元手に大きな金額の取引を可能にするしくみのことです。
少ない資金で取引OKな理由(レバレッジとは?)|GMOクリック証券
しかし、積立FXを提供しているFX会社の場合には、1通貨単位から積み立てられるようになっています。
1ドル140円なら140円から積立が可能で、さらにレバレッジをかければその半分以下の金額からコツコツと積み立てられます。
積み立てる金額は自由に設定可能です。
積立サイクルと合わせて設定しますが、例えばSBI FXαの場合であればサイクルは毎日、毎週、毎月から選択するので、金額を1万円でサイクルを毎月にすれば、毎月に1万ずつ積み立てられます。
※ 参考:積立FX|SBI証券
同積立FXではレバレッジを最大3倍まで(一部通貨は2倍まで)設定可能です。
積立FXはいつでも売却できるようになっている場合が多いです。
例として挙げているSBI FXαも積み立てた分はいつでも売却可能で、機動的に売買ができます。
積立投信よりも売買がしやすいのも積立FXの特徴と言えるでしょう。
FXの特徴であるレバレッジは、積立FXでは大幅に抑えられています。
積立FXのサービスを提供するSBI証券のSBI FXαと、外為どっとコムの外貨積立(らくつむ)は、どちらもレバレッジが最大3倍までとなっています。
それでも3倍まではレバレッジがかけられることになるので、危険性やリスクについてしっかりと知っておく必要があります。
積立FXに限らず積立投資は長期保有が基本です。
何十年といったスパンで見る投資方法となるため、高いレバレッジでは資産の変動が激しくなり、長期投資には向かなくなります。
また、レバレッジをかけすぎるとロスカットになる場合もありますが、最大3倍のレバレッジであればそのリスクはある程度は軽減されることになります。
FXは収支が大きく上下し、資産変動が激しく危険といったイメージがあります。
しかし、積立FXは1通貨から保有できることで、資産変動はそこまで大きくならない場合が多いです。
とは言え、為替相場の完全な予測は不可能で、突発的な値下がりが起こることもあります。
そのときには大きく資産も変動することになるので、レバレッジを最大までかけてしまうのは危険です。
最大レバレッジが抑えられていても、レバレッジをかける以上はロスカットのリスクはあります。
レバレッジが2倍や3倍であれば、通常のFX取引のレバレッジ25倍に比べるとロスカットのリスクは大幅に低下するものの、リスクがなくなるわけではありません。
ロスカットのリスクを負って積立投資でレバレッジをかけるのは、あまり良い資産形成方法とは言えません。
長期の目線で積立FXを考えているなら、レバレッジをかけずに積み立てたほうが良いでしょう。
積立FXには以下のようなメリットがあります。
予め設定した内容で自動的に通貨が買われるため、FX初心者の方でも始められます。
金融機関の外貨預金よりも手数料が安い場合も多く、コストを抑えて始められるのも一つのメリットです。
FX取引を始めるためには様々な知識が必要です。
外国為替の基本、チャートの読み方、注文の方法など、取引をしながら覚えていく部分も多いですが、これらは必須の知識と言えます。
一方で、積立FXはこれらの知識がなくても問題ありません。
積立FXができるFX会社の口座を開き、積立設定をするだけなので、パッと見ただけではよく分からないチャートの読み方を調べることもなく始められます。
それでも、大事なお金を運用することになるので、積立を始めた後でもFXについての最低限の知識は調べておくと良いでしょう。
FXは二国間に通貨を両替するような取引です。
「ドルを買う」と言っても一般的には「円を売ってドルを買う」という取引になり、このときに二国間で金利差が大きい場合には、その金利差から生じる「スワップポイント」が受け取れます。
スワップポイントは原則毎日発生し、低金利通貨を売って高金利通貨を買っている場合には、非常に高い利回りを得ることができます。
長年にわたって低金利となっている日本円を売って高金利の他の国の通貨を買う積立であれば、スワップポイントによるインカムゲインが積み上がっていきます。
南アフリカランドやトルコリラのような比較的金利が高い国の通貨を買い、日本のような比較的低金利の通貨を売ったときに、スワップポイントを受け取ることが期待できます。
FXで利益を得る仕組み|松井証券
積立FXではいくつかの通貨から選べるようになっており、それぞれの通貨で分散も可能です。
一つの通貨だけで積み立てるのはリスクが高くなりますが、通貨の分散が簡単にできるのでリスクも分散できます。
じつは、積立FXは通貨を集中させることには大きなリスクが生じてしまいます。
詳しくは後述しますが、そのリスクを考えると通貨は集中すべきではなく、さらに言えば積立FXだけでの資産形成はあまりおすすめできません。
積立FXには特徴的な様々なリスクやデメリットがあります。
これまで触れてきた内容と重複する部分がありますが、主なリスクやデメリットは以下の通りです。
ロスカットのリスクについては上でも触れていますが、レバレッジをかける場合には特に気を付けておく必要があるので、改めてここでも見ていきます。
レバレッジをかけていない場合には問題ありませんが、最大の3倍のレバレッジで保有している場合には、突発的な為替変動でロスカットになることがあります。
少し極端な例になりますが、以下はポンド円の月足チャートです。
リーマンショックが起こった前後の時期となりますが、このときのポンド円は1年半で250円ほどから半分の125円ほどまで下落しています。
2008年に米国の投資銀行大手リーマン・ブラザーズが負債総額6000億ドル超となる史上最大級の規模で倒産したことを契機として発生した世界的な金融・経済危機のこと。
リーマン・ショック|野村證券
通常のFXで高いレバレッジで保有していれば当然ロスカットになっていますが、積立FXでも半分までの下落となると、レバレッジをかけていればロスカットになる水準です。
為替相場ではこういった急変動が何年か、何十年かに一度は起こっているので、ロスカットリスクには気を付けておく必要があります。
※ 参考:リーマン・ショックからの教訓|SBI FXトレード
通貨ごとの金利差があるとスワップポイントが得られますが、金利差が狭まったり、または金利差がなくなるとスワップポイントが減ることや、またはスワップポイントがなくなることがあります。
上で触れたリーマンショック以降は各国で利下げが相次ぎ、それまでは高金利通貨と言われてたものが低金利になり、スワップポイントが大きく減るなどのことも起こりました。
金利が変わり、スワップポイントが少し減るだけなら大きな影響にはなりませんが、金利差が逆転すると大きなリスクになってしまいます。
例えば今後に日本が利上げをし、アメリカが利下げをしてどこかで金利差が逆転すると、スワップポイントを支払わなければならなくなります。
円を売ってドルを買っていればスワップポイントが受け取れていたものが、逆に日々支払わなければならなくなる可能性があるのは、基本的に長期で保有することになる積立FXの大きなリスクと言えます。
積立FXは提供しているFX会社が非常に少ないです。
通常のFXであればFX専業会社や証券会社、銀行などでも取引できますが、積立FXのサービスを提供している会社は数えるほどしかありません。
利用者の増加が見込めないとなれば積立FXのサービスが終了する可能性があり、サービスが終了となった際にポジションが強制決済になるのか、それとも他の方法で保有できるのかはリスクの一つです。
積立投資の中でも積立FXはマイナーと言わざるを得ないので、提供するFX会社のサービス終了のリスクは考えておいたほうが良いでしょう。
積立FXはFXの知識がなくても始められますが、積立投資としてあまり良い選択肢とは言えない可能性があります。
FXをやるなら通常のFXで自分自身で取引をしたほうが良い場合が多く、いくつかのメリットがあるとしてもわざわざ積立FXを選ぶ方も多くありません。
積立FXのメリットやデメリットを見た上で、なぜ積立FXがあまりおすすめできないのかについて説明します。
積立投資の魅力は、値上がりによるキャピタルゲインと配当や分配金等のインカムゲインです。
しかし、積立FXは長期保有によるキャピタルゲインには期待ができず、どちらかと言えばインカムゲインに収益が偏っています。
以下の画像は上がドル円、下が豪ドル円の長期のチャートとなりますが、水色のラインが引かれている20年ほど前の水準から上下はあってもそこまで大きく値上がりしているわけではないのが分かります。
直近の歴史的な円安によってドル円は上振れていますが、それまでの数十年間は上がっても戻って、下がっても戻るという動きに留まっています。
豪ドル円はその動きが特に顕著で、上下に振れてリスクだけが増大する割に長期で見ると値上がりには期待が持てなくなってしまっています。
2008年に起こったリーマンショック以降は、各国で利下げを行ったことでスワップポイントも大きく減っていたときがあります。
今ではドル円投資でも大きなスワップポイントが得られますが、当時は数年間にわたってドル円のスワップポイントはほぼゼロという期間が続いていたので、積立FXによる安定したインカムゲインは安定しません。
値上がりによるキャピタルゲインが期待できず、インカムゲイン頼みとなってしまう積立FXは、投資効率という面で見ても魅力が高いものとは言えないでしょう。
長期投資の目的の一つに、インフレ対策というものがあります。
なぜ対策をしなければならないかと言うと、インフレが進行することでお金の価値が下がるためです。
例えば、物価が毎年2%ずつ上昇した場合、現在100万円のモノは、5年間で約110万円まで上昇します。つまり、現金のまま置いている100万円のお金の実質的価値は、5年後、約90万円相当まで目減りしてしまうということです。
インフレ|野村アセットマネジメント
2%は日銀が長年にわたって目標としている数字であり、仮にその数字が達成されることになれば、現金のままでお金を持っていると目減りしてしまいます。
対策としては現金のままではなく他の何かで保有する必要があります。
通常の積立投資では株式などの中心とした投資信託が使われることが多いため、特に意識していなくても自然とインフレ対策ができていることになります。
しかし、積立FXにはそのような効果はあまり期待できません。
通貨ペアでの取引となるFXでは、片方の国が著しいインフレでもう片方がデフレという状況でもなければ、インフレを要因とした通貨ペアの値上がりというのは起きにくいです。
急激なインフレが起こると各国では金利の引き上げによって鎮静化させる動きが起こり、その結果として一時的にスワップポイントが高騰することはあります。
しかし、いつまでも金利を上げ続けるわけにはいかず、いつかは金利の引き下げとなることで、為替レートも戻る動きとなり、スワップポイントも減っていきます。
また、仮にこの先に日本がインフレになり、アメリカのインフレが落ち着くようになると、これまでとは逆の動きになる可能性もあります。
積立FXはインフレ対策になりにくいだけでなく、むしろ日本のインフレ時には余計なリスクなる可能性すらあるのです。
長期で保有しても値上がりに期待ができず、主な収益となるインカムゲインのスワップポイントも不安定となると、期待できるリターンがあまり高くないことになってしまいます。
直近の各国の高い金利と日本の低い金利だけを見て、このスワップポイントが続くとするなら、積立FXは長期でも効率の良い投資方法になり得ます。
各国の金利差が小さくなり、スワップポイントも少なくなると、リターンも極端に少なくなってしまいます。
現在のスワップポイントだけを見て積立FXでの皮算用をしてしまうのは、あまり良い選択肢ではないかもしれません。
FXは長期目線での積立投資には向いているとは言い難い面があります。
積立FXを提供しているFX会社が多くないことからも明らかで、FXをやるなら自分で取引をしたほうが良いです。
FXはわざわざ積立投資をしなくても少額から始められるようになっており、資金効率の良い取引ができるのが大きな特徴です。
自分自身でFX取引を始める際に必要な資金は、1,000通貨単位なら数千円から、1万通貨単位でも5万円や6万円ほどで問題ありません。
資金が少ないからといって取引できる通貨が減ることはなく、アメリカドルと日本円のドル円の取引でもその金額で始められます。
取引口座に入金した資金に対してレバレッジがかけられるためで、少額の資金でも効率の良い取引を可能としています。
上の長期チャートでも触れたように、為替というものは長期で見て値上がりに期待できるものではありません。
どちらかと言えば短期の値動きでトレードをすることが多く、資金効率で考えてもFXは短期トレードに向いていると言えます。
FXは資産を運用するというよりも、効率気に資産を増やす手段として用いられることが多いです。
長い目で資産運用をするなら積立FXでも通常のFXでもなく、投資信託などを用いたほうが良いでしょう。
積立投資で将来に備えた資産運用をしたい方は、積立FXではなくインデックス投資をコツコツと行うのが無難です。
インデックス投資とは、市場の値動きを示す指数(=インデックス)の値動きに連動をめざす投資手法です。
インデックス投資とは?|マネックス証券
日本国内であれば日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、海外であればアメリカのダウ平均株価やナスダック総合指数、S&P500指数などです。
これらの株価指数を10年という長い期間で見てみると、上昇率に違いはあっても以下のように長期で見てしっかりと値上がりをしています。
為替は長期で見ても大きな値上がりが期待できないのに対して、株価指数は途中に下がる場面はあっても時間の経過とともに上がっていく傾向があります。
株価は経済成長に連動して上がっていくためで、この点は為替と大きく異なる点です。
何がいつあがるか、必ずしもあてなくていい。世界全体は過去も成長し今後もたぶん成長する。
世界の株価は長期では経済成長に連動|金融庁(PDF)
長期で上がっていくものであれば、資産を運用するために積立投資をするのは効果的です。
積立FXのスワップポイントのような分配金もあり、値上がりのキャピタルゲインに加えて分配金のインカムゲインも得られるため、積立FXよりもメリットが大きくなります。
不安定なスワップポイント頼みとなってしまう積立FXよりも、同じ積立投資ならこういったインデックス投資のほうが安定感がある場合が多いです。
積立投資をするならわざわざ積立FXを選ぶ必要もないので、FXをやるなら自分自身で取引をしたほうが良いでしょう。
最後に、参考までにドル円レートと株価指数を比較したチャートをお見せします。
10年前を100とした長期の比較チャートとなりますが、最も上昇率の高いナスダック総合指数が370となっているのに対してドル円は150であり、2022年からの例外的な歴史的な円安水準を除くとそれまでは120ほどに過ぎません。
長期で資産運用をする予定であるなら、為替を積み立てるというのがあまり効果的ではないのが分かります。
積立FX自体を完全に否定するものではありませんが、レバレッジもかけられる投資商品であることを考えると、積立FXは積立投資でありながら、どちらかと言えば短期的な投資に向く商品と言えるでしょう。
今から15年以上前の、国内口座でも400倍のレバレッジで取引ができた時代にFX取引をスタート。最初に取引をしたのは豪ドル円の買い。
その後は相場から離れたり戻ったりしながら、今ではFXだけでなく日本株個別投資、先物取引、CFDと一通りのものを触る相場ジャンキー。